『繊細過ぎてしんどいあなたへ HSP相談室』
串崎 真志/著
岩波書店/刊
本体800円(税込)
繊細は物事を深くとらえる多感力がある
現代に生きていると、繊細であることはデメリットのように思われている節がある。「君って繊細だね」と言われると、どちらかというと打たれ弱いという意味に捉えられやすい。「いちいち傷ついていたら生きていけないよ」、という声が暗に聞こえてくるようである。
しかし、果たして繊細であることは悪いことなのだろうか。そのような疑問に本書は答えてくれている。
本書は、繊細な性格を持つ人である、HSPについての本である。HSPは五人に一人が該当し、決して珍しいものではない。繊細であることは、弱いことではなく、むしろ、物事を深くとらえる多感力があると訴えかけてくれる。また、繊細さも複数のタイプがあるらしく、本書では6つに分けられている。それぞれのタイプ別の対処法も示してくれているので、自分がどのタイプなのかと確かめてみると、新たな発見がある。
「繊細さ決して病気ではないので、治すべきものでもありません。」という言葉が印象に残る。共感力や想像力は、HSPの人は長けている。五感が敏感な人は、人が気づかないことにいち早く気づける。繊細さは、メリットなのだ。
自分は、繊細な人間は、より研ぎ澄ませて生きていくべきだと思った。それは、生きる上で必要というわけではなく、より豊かな人生を歩めるからだ。
悩める繊細な人だけではなく、いろいろなタイプな人がいることを知るためにも、様々な人に手に取ってほしい一冊である。
(評・佛教大学社会学部4回生 藤井 貴之)
(月刊MORGENarchive2021)